先日「生徒よりも講師募集のほうが人が集まる」というYahooニュースを読みました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b35212375e4f84d3944ab96875d6273330fe303d?page=1
ヨガインストラクターとして、そしてヨガスタジオを経営する者として興味深く読みました。ラサリラヨガでも現在5回ヨガ指導者養成コースを実施してきました。ラサリラヨガの指導者養成コースは108時間で「RYT200」という資格を取得できません。なぜなら「RYT200」にあまり意味がないと私自身は10年以上前から思っています。
私自身は12年前に指導者養成コースを200時間NYで受けましたが、指導者養成コースを終えた後、結局登録料のかかるRYT200を取得しませんでした。ですので、私は何の資格も保有していないヨガインストラクターです。NYに行く前にインドでヨガ修行を数か月積んでいたので、この俗っぽいRYTというものに疑問を感じていました。実はこのRYT200はアメリカの団体が創ったものであり、インドにいる多くのシニアヨガ指導者は何の資格も保有していません(若い世代はインドでもRYTを保有して指導している人もでてきています)。私はアイアンガーヨガをメインで練習していますが、アイアンガーヨガもレベルがあり、指導者のテストがありますが、これはインド以外の国の先生に課されるもので、インド国内ではアイアンガーヨガもティーチャートレーニングというものがありません。アイアンガーヨガの認定指導者となりたくて、カナダに移住してたことありましたが、1年くらい経った時に、主人のポールが「インドにヨガしに行ってくるわ~」と言い出しました。この時、私はカナダに住んでおり、ポールは日本に住んでいましたが、同じヨガを学んでいるのに、資格にこだわってカナダに住んで、遠距離恋愛している自分がアホらしく感じ、もう資格なんてどうでもいいから、本場のインドでポールとヨガ修行したいと、カナダを離れることに決めました。これは今振り返っても英断で、組織・ルール、しがらみだらけの日本社会・企業に飽き飽きして、コンサルを辞めてインドにヨガ修行に行ったのに、また自分を檻に閉じ込めようとしていると気づきました。資格なんてどうでもいいと思えたあの日から、私は本当に自由を手に入れたように思います。
ヨーガとは本来、師弟関係の強いもので、師匠が弟子に「じゃあ、君も教え始めるか」と言って教え始めます。私はアルーン先生がメインの師匠で「先生、日本にそろそろ帰ります」といったときに「君も日本でヨーガを教えるといいよ」と言ってもらった経緯があります。
一定のレベルを保つため、組織化させるためにティーチャートレーニング、資格といったものがありますが、本来ヨーガとはそういうものではありません。ヨーガは生き方であり、アートです。ピカソがすごいのは、資格を持ってたり、有名な大学を出てるからとかではなく、彼のアートが斬新で魅力的だからです。ヨーガの世界とはそういうものであり、私自身、組織や流派にこだわらず、自分がみてきたもの、自分がいいと思うものを取り入れ、そして日本のみんなに伝えていきたい、そういう気持ちでやっています。料理人の世界も同じで、「5つ星レストラン出身のフレンチシェフ」とか参考にはなるけれど、やはり自分が食べて「美味しい!」と思ったレストランに通うものです。
では新人のヨガインストラクターはどうすればいいか。まず模索することです。「無我夢中」という言葉はとてもヨガ的だと思っていて大好きなのですが、無我夢中でヨガを練習し、ヨガを教える方法を見つけてみてほしいです。私は無料でまず友人に指導し始め、インストラクター養成コースで一緒になったニューヨーカーと教え合う練習を沢山しました。はじめてヨガ教室を開講したのは東京の公民館。東京のOL時代の友達たちを誘って、小さな小さな教室を始めました。
でも皆が皆、自営業・フリーランスに向いているとも思いません。どこかに所属するというのも非常にメリットがあります。一人でできることってやはり限られていて、チームで何かを創り上げるというのも非常に楽しいものです。
ラサリラヨガの指導者養成コースでは、修了した生徒さんに指導する機会を提供し、経験を積んでもらう前提で指導者養成コースを実施してきました。
RYTは意味ないとは思っておらず、その逆で受講して本当によかったと思います。ただこの資格が仕事にすぐ繋がると思ってはいけない、それだけです。私自身、そこで初めて哲学に触れて、解剖学も勉強し、ヨーガの全体像が垣間見れました。またこういったコースは体系的に、かつ効率的に学べるいい機会です。ヨガが大好き!という人が指導者養成コースには集まるので、そこで出会った友人たちは私の宝物です。
ヨーガはアートなので、お金と直結させようとすると素晴らしい芸術がうまれないと思っています。10年以上教室を経営していますが、今でもそう思っています。私がヨガ教室を営む理由は、自分のヨガ修行のため、人と出会うため、そして自分が学んできたものを皆に共有したい、そんな思いでやっています。
自分と出会う人みなが幸せになれますように、そう毎日祈っています。