流産

先週、流産しました。妊娠14週目でした。3週間前の検診のときに心拍が確認できない、子宮が収縮し始めているとのことで流産が確定していたのですが、クリニックの処置ではなく、自然排出を希望していたので、無事に、自然に出てきてくれてホッとしました。妊娠していたことも言ってなかったので、いきなり「流産しました」というタイトルの記事で驚く人も多いと思います。流産宣告された2週間前は結構落ち込み、同じ流産経験のある自分の母親に電話で話を聞いてもらったり、流産した生徒さん、地元の友人、ああ、あの人も流産したって言ってたな〜と色々思い出しました。

主人のポールとも色んな話をしました。その時二人でインドの神話の話をして、ああこういう時に神話を知っておくと気持ちの整理をするときに役立つんだなと思ったので、ここで紹介してみます。

クル族の王シャンタヌは、ある日、森でこの世のものとは思えないほど美しい娘を見かけました。彼女の名前はガンガー。天界の女神であるガンガーは、金色の肌を輝かせ、さらには豊かでゴージャスな黒髪をたなびかせ、シャーンタヌに向かって微笑んでいました。

シャンタヌは一目惚れし、求婚しました。女神ガンガーは「私のすることに口出しをしない、もし何か言ったら、その時点ですぐにあなたの元から去ります」と言いました。シャンタヌは何も言わないと約束し二人は結婚しました。

しばらくしてガンガーは妊娠し、シャンタヌは喜びました。しかしガンガーは生まれてきた子供を川に投げ込み死なせてしまったのです。シャンタヌは言葉を失いますが、彼はあの約束を忘れてはいませんでした。何か言ったらガンガーは、彼の元からいなくなってしまうので黙って時を過ごしました。またしばらくするとガンガーは二人目を妊娠しました。でも二人目も産後すぐに川に流し、それは七人目まで続きました。

ガンガーが八人目を産んだとき、ついにシャンタヌは沈黙を破りました。「もう子供を川に流すのはやめてくれ。なぜそんな残酷なことをするんだ」と。するとガンガーは「私は天界から来ました。」と自分の正体を明かしました。そして続いてこう説明しました。

「天界にいたときに8人のヴァス神たち(ヴァス神というのは自然現象を神格化した神々のこと))はヴァシシュタ仙(古代インドの七聖仙のひとりで、『リグ・ヴェーダ』第7巻の作者と伝えられる)の怒りをかい、人間の子供として生まれよと呪いをかけました。ヴァス神たちは、私に「不浄な人間の女の胎に入りたくないから、地上に降りて自分たちの母となってくれ」と頼みました。私がこれを承諾すると、さらにヴァス神たちは「生まれたらすぐに自分たちを川に投じて殺してくれ、そしたら呪いは解けて天界に戻れるから」と頼みました。だから私は赤ちゃんを川に流しました。でもあなたは約束を破りました。私はあなたの元を去り、天界に戻ります。」

そしてガンガーは八人目の息子を連れてシャンタヌの元を去りました。後にこの子供は、ビーシュマという名前で知られ、シャンタヌの元へ返されました。

インドの神話は過激なストーリーが多いのですが、だからこそとても覚えやすくなっています。10年以上前に聞いたこの話をふと思い出し、これは流産の話だよね、と。

流産した人は自分を責めてしまったり、原因を探ろうとすると思います。たとえ医師に「赤ちゃん側に問題があったからです」と説明を聞いても、自分が動きすぎたからかな、とかコーヒー飲んでたからかな、と原因をあれこれ考えてしまいます。私自身、スキーにも行ったし、普段通りヨガで逆立ちもしてたし、動き過ぎたからでしょうか?と先生に確認しました。でも初期の流産は染色体の異常がほとんどだといいます。そして生命力の弱い赤ちゃんが流れてしまうことは、自然淘汰なんですと。

改めて私は自分の息子二人がいかに強い生命力で生まれてくれたか、と思いました。生命の誕生は奇跡です。私達は大人になって忘れがちですが、私達みな非常に強い生命力を持って生まれてきています。同じ時代に生まれ、こうやってお互いに出会えたことは奇跡です。

体調が悪いとき、

心が弱っているとき、

私達は自分に自信が持てなくなることがあります。でも自分のなかにあるエネルギーを信じてほしいです。強いエネルギーを持って、私達は生まれてきました。

先週流産で出てきた赤ちゃん(水風船のような塊で出てきたので、赤ちゃんだとわかりました。)にポールと手を合わせ、私は一人で夜、お風呂で沐浴しました。信仰心はないのですが、インドのガンジス川で何度も目にした沐浴を真似てお風呂に頭まで何度も浸かりました。何かせずにはいられませんでした。

先週の日曜日のヨガの稽古は、赤ちゃんが出てきた次の日で、生徒さんに流産の話、ガンガー女神の話をしました。聞いてくれた生徒さん、本当にありがとうございました。ラサリラヨガは私の中で神聖な場所なので、あの場で話せて、みんなに聞いてもらえて本当によかったです。

徐々に体調も回復し、今は福岡の両親の家で美味しいお母さんの料理を毎日たらふく食べて、こっちの家族、そしてポールに甘えまくっています。

三人目の赤ちゃんは殘念でしたが、今後も二人の息子にいっぱい愛情を注いであげたいなと思います。

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